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おらほの博物館支え20年 松本市立博物館「友の会」

友の会リレートークが開かれた新博物館講堂を埋め尽くす聴講者

 松本市立博物館や分館施設をよりどころに市民が学び、交流し、郷土の歴史や文化を継承する「松本まるごと博物館友の会」は、今月で20周年を迎える。他の社会教育施設(図書館、公民館など)に比べてなじみが薄いとされる博物館を身近に感じてもらい、博物館のファンや応援団を増やそうと平成16(2004)年に発足。昨秋以降は新市立博物館に活動拠点を移し「おらほの博物館」を一層盛り上げ、育てていこうと士気を高めている。

 今月8日、友の会恒例のリレートークが新博物館で開かれ、約60人の聴講者が講堂を埋め尽くした。会員で県民芸協会副会長の竹下賢一さん(72)が「暮らしのなかに民芸のこころを」と題して講演。松本にもゆかりの民芸について「生き方、暮らし方を見直す、いわば精神運動だった」と語る90分の内容に、熱心にメモを取るなどして耳を傾けていた。
 20年前、館長補佐として設立に尽力した元市立博物館長・窪田雅之さん(67)によると「日本民俗資料館」の看板を掲げ、財団による独立採算制を取っていた当時の博物館にとって、地域住民にこそ愛され、親しまれ、応援してもらう博物館のソフト整備は喫緊の課題だった。平成12年に市が策定した「松本まるごと博物館構想」を市民参加で実現し、生涯学習を推進したいとの思いも強かったという。会員の獲得に奔走し、設立総会は盛会に開催。「多くの市民が博物館に足を運んでくれるようになった。俺たちのもんだと思ってくれる市民がいてこその博物館。本当にありがたかった」と話す。
 講演会、見学会、調査活動や部会活動など幅広く市民の学習や交流に寄与する事業を展開し、成果が地域へと還元される循環型の取り組みは今日まで継承される。会員は一般約150人、企業55社。川舩義嗣会長(75)は「新たな博物館も大いに活用されるよう、多くの人を巻き込みながら応援団を続けていきたい」と話している。