政治・経済

国政の舞台裏語る タイムス広告会の田﨑史郎さん講演に700人

現在の政治状況について語る田﨑さん

 中信地方の有力企業でつくるタイムス広告会(井上保会長)は1日、松本市本庄1のホテルブエナビスタで新春講演会を開いた。政治ジャーナリストの田﨑史郎さんが「日本政治の舞台裏」と題し、現在進行中の政治家同士の生々しいやりとりや、政治家の資質に関する考察を語り、約700人が熱心に耳を傾けた。

 田﨑さんは45年に及ぶ政治記者歴について「自分で取材して事実と思ったことを伝え、皆さんに判断材料を提供することが仕事だと思ってやってきた」と振り返った。
 「すごいと思った政治家は2人だけ」として田中角栄氏と安倍晋三氏を挙げ、共通点として▽人を動かす力が並外れている▽敵がい心(争おうとする意気込み)の強さ▽開けっぴろげ▽現実主義者―であったことを、さまざまなエピソードを交えて紹介した。「田中角栄は人の欲望を見抜く天才だった。金の力で人を動かした」といい、「安倍さんは理想を掲げた現実主義者だった」と評した。
 一方で、岸田文雄首相は敵がい心に欠けて「話が面白くない」といい、秘密主義で周囲に相談しないことを指摘した。1月18日に自らの派閥を解散すると表明した際、政権を支えている麻生派の麻生太郎氏や茂木派の茂木敏充氏に事前の相談をせず、怒りを買ったことを語った。
 一般社会にも通じる人の動かし方として、安倍氏の「相談すれば相手も責任を共有してくれる」という言葉を紹介した。
 現在の政治状況から「岸田政権は長くても自民党総裁任期の9月まで」と予想した。1月28日に麻生氏が講演で上川陽子外相の外見に触れて批判を浴びているものの、その中身は「自民党の新しいスター」と高く評価したものと述べ、他の有力政治家からの評判も良く「総裁選に上川さんを推す静かな流れができている」と語った。