政治・経済

松本市長選 低調な前哨戦 「訴え届いてこない」声も

 松本市長選挙は、3月10日の告示まで1カ月余りとなった。立候補を予定する4氏の前哨戦が徐々に熱を帯びてきたが、訴えは市民にあまり届いていないようだ。4年前の前回選の時に活発だった、立候補予定者を招いて話を聞く市民主催の会も格段に少ない。このまま関心が低い状況が続けば、投票率の低下につながりかねないと危ぐする声も聞かれる。

 前回選は、市長を4期務めた菅谷昭氏が引退を表明し、新市政への転換期ということもあり関心が高かった。松本城周辺の中央地区の町会連合会は前回選時、各立候補予定者を招き、外堀復元事業や国宝の旧開智学校と松本城の活用などをテーマにした懇談会を開いた。今回は予定しておらず、事務局の中央地区地域づくりセンターは「堀復元事業にめどが付き、松本城三の丸エリアビジョンに基づく活動が活発になってきた。今回は連合会内に強い要望がない」と話す。
 育児をテーマに、子育て中の仲間と立候補予定者の話を聞く会を主催した女性(47)は「(新人6人が争った)前回選は立候補予定者に興味津々だったが今回はわくわくしない。この4年間、コロナで活動が制限されたこともあってか、市政に思ったほどの変化を感じなかった」とする。
 前回選の時と同様に会の開催を模索する人たちも、周囲の関心の低さを感じている。今月中旬に市岡田公民館に立候補予定者を招き、話を聞く会を開催する予定の実行委員会メンバー・長岩須美子さん(71)=岡田下岡田=は「関心を高めて投票率を上げる一助にしたい」と意気込む。3月上旬には松本青年会議所OBと市内の高校生が協力して公開討論会を開く計画があり、メンバーの一人は「特に若い世代に訴えたい」と思いを語る。
 前回選で、市民要望を立候補予定者に聞いてもらう会を開いた藤山静雄・信州大学名誉教授は「今回は立候補予定者の訴えが届いてこない。争点も見えない」と指摘する。各立候補予定者には、現在の市政課題やそれぞれの訴えを一層分かりやすく市民に示すことが求められている。