連載・特集

2024.2.3 みすず野

 きょうは節分。そもそもは季節を分ける日という意味で、立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれ前日を指した。それが「中でも立春前日の節分は、立春が冬から春にかわる1年のはじまりとされていたので、新年の邪気を祓う行事が行われる重要な日」(『春夏秋冬を楽しむ・くらし歳時記』成美堂出版)だったため、現在では節分というと立春の前日を示すようになったという◆豆まきの由来は、平安時代の宮中の年中行事「追儺」や「鬼やらい」と呼ばれる、大みそかに鬼を追いはらう儀式。それが一般の家庭に広まり、室町時代から行われるようになったといわれる◆『~くらし歳時記』に、鬼についても記述されている。それによると、古来、鬼とは「陰」といわれて、姿の見えない災いや、病、飢餓などを示す言葉で、具体的な姿はなかった。それが陰陽道の思想などから、頭に角があり、赤や青の肌といった恐ろしい鬼の姿になったとされる◆筆者が子どもの時分は夕食が済んで一息ついたころ、近所から「鬼は外、福は内」の大きな声が聞こえてきた。今はあまり聞かれなくなったのが、昔日をしのぶ筆者には、ちょっと寂しい。