地域の話題

松本市内の外国人住民が最多に 共生社会の浸透なるか

東部公民館の人権講座で講話する多文化共生キーパーソンの2人

 松本市に暮らす外国人住民が昨年12月末で4286人に達し、外国人の住民基本台帳制度が始まった平成24(2012)年以降で最多を更新した。新型コロナウイルス禍の収束に加え、国内労働人口の減少を背景に外国人材の受け入れが進む中、外国人労働者やその家族は増加傾向にある。市は多文化、多国籍の人々が共生する地域社会の推進に向け、住民間の橋渡し役「市多文化共生キーパーソン」の浸透強化に乗り出している。

 市人権共生課によると、昨年末の市内の外国人住民は人口比率で1.82%と急増した。64の国と地域にまたがり、在留資格別では▽留学▽技能実習▽特定技能―の増加が顕著だ。ただ、実態調査では外国人の存在を身近に感じない市民が5割に上り、地域への受け入れには課題も少なくない。
 多文化共生キーパーソンは住民同士が国籍を超えて情報を伝え合い、寄り添い、つながるための橋渡し役として平成23年度にスタート。令和3年度には登録制となり、登録者は昨年末現在117人に上る。キーパーソンがそれぞれの暮らす地域で認識されるように、昨年度には各地域づくりセンターの職員や自治会役員らとの顔合わせも始まり、住民間に新たな交流が芽生えている。
 24日夜、市内の東部公民館で多文化共生の人権啓発講座が開かれていた。地元の町会連合会や人権啓発推進協議会が主催。講師は多文化共生キーパーソンのミンチェンス・シャークさん=オランダ出身=と、寺島ゆいさん=中国出身=だ。
 2人は日本に暮らして感じた疑問や困り事、コミュニケーションの大切さをジョークも交えながらざっくばらんに紹介。初めは緊張していた参加者にも笑顔が広がり、会場から「互いに理解し合えば争いもなくなる」の声が上がった。寺島さんは「皆が楽しく安心して暮らせる社会に向けて私自身力になりたい」と話していた。