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90歳の望月妙子さんが俳句新人賞 信濃俳句通信賞公募

新人賞に輝いた望月さん(左)と信濃俳句通信賞を受賞した降幡さん

 俳句結社・信濃俳句通信が2年に一度実施する「信濃俳句通信賞公募」の第20回新人賞に、90歳の望月妙子(俳号・静乃)さん=松本市笹賀=が選ばれた。余生の充実にと"米寿の手習い"で同結社に入会。四季の移ろいや心の機微を17字に凝縮する世界に魅了され、腕を磨いてきた。大賞に当たる信濃俳句通信賞は、安曇野市三郷小倉の降幡昌幸(俳号・燦里)さん(84)が受賞した。

 名前を伏せて10句を投句し、信濃俳句通信の主宰・佐藤文子さんら9人の審査員が審査する。第20回は37人から応募があった。
 望月さんの詠んだ句は「約束を鉄鎖と思ひコート着る」「術台に身を置く朝や神の留守」など。締め切り1週間前にようやく出した句で「受賞の知らせにとにかく驚いた」と目を丸くする。
 亡き父が長年俳句に親しんだ縁で「以前から興味はあった」が、古希まで着物コンサルタントとして働き本格的に取り組むことはなかった。88歳を迎えたころ「せっかく頂いた命。無駄に過ごしてはいけない」と一念発起。信濃俳句通信の門をたたいた。同結社の二つの句会に毎月バスを乗り継いで通い、句友とのひとときを楽しむ。
 何より「当たり前に見過ごしていた身近な自然や自分の心の動きに意識が向き、生活に奥行きが生まれた」。80代、90代と「その年代だからこそ詠めるものを詠み、ずっと俳句を続けたい」と話す。
 俳句歴15年の降幡さんは、年齢を重ねる自身を四季に重ね「晩景の整ひにけり花芒」などと詠んだ。鉛筆と紙さえあればできると気軽に始めた俳句だが「日本語はなんてすてきなんだろうと今ではすっかり魅了されている」。市民タイムスの文芸欄も欠かさず目を通し、17字に透ける「詠み手の生き方」に日々学んでいるという。「俳句は人生に欠くことのできないもの。受賞を励みにさらに精進したい」と話していた。