連載・特集

2024.1.13 みすず野

 江戸後期に書かれた紀行文『善光寺道名所図会』でも紹介されているように当時の松本は信州一の「商都」だった。江戸時代、それを支えた商品の中にあったのが、全国的に有名なブランドとなった生坂たばこだ。きょうは、昭和21(1946)年の「ピース」発売に由来し、愛煙家が制定したといわれる「たばこの日」◆生坂たばこの歴史は、同村の照明寺の住職・良憲が約400年前、修行で出掛けた長崎から種を持ち帰り、寺で栽培したのが始まりといわれる。江戸期に喫煙の習慣が広まると、タバコ栽培が盛んになった。当初、葉タバコのまま流通させていたが、生坂では安永年間(1772~81)に包丁を導入し、刻みたばこに加工して出荷するようになり、江戸で「生坂切粉」として大変な人気を呼んだという◆昨今、健康被害で文字通り煙たがられるたばこだが、松本の経済発展に寄与した歴史は覚えておきたい。筆者も健康のため13年前に禁煙したが、喫煙していたころは気分転換などで大いに助けられた◆ただ、各データを踏まえて健康のことを考えると良くないのはやはり事実。愛煙家の皆さんは、新年を機にご一考を。