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伝統の技法・三ツ紐伐り 烏川渓谷緑地でヒノキ伐採

順番におのを振るう参加者

 安曇野市の県烏川渓谷緑地市民会議「森林保全チーム」は7日、穂高牧の同緑地森林エリアで、おのだけで木を切り倒す日本古来の伐採技法「三ツ紐伐り」を行った。関係者と一般参加者の30人余りが、先人の知恵と技に触れながら貴重な体験を楽しんだ。 

 胸高の直径41センチのヒノキを使い、下弦の月から新月までの新月期間に切り倒す「新月伐採」を実践した。新月伐採した木はカビや害虫に強く、割れや狂いが生じにくいなどの特徴があるという。
 同チームのメンバーが手ほどきした。塩や酒をまいて伐倒の無事を祈った後、参加者が代わる代わるおのを振るい、森林内に「コーン、コーン」と小気味よい音を響かせた。1時間ほどで仕上げの段階になり、最後のおのを入れるとミシミシと傾き、ドスンと地響きを立てて倒れた。
 森林整備に興味を寄せる穂高有明の須田陽夫さん(56)は「まき割りと違っておのを横に入れるので難しかった。多くの人が体験することで自然を守る意識も高まる。すごく大切なこと」と体験の意義を語っていた。
 三ツ紐伐りによる新月伐採は平成28(2016)年から毎年行われている。伐採した樹木は建材として活用されている。同チームの初代リーダーで事務局の諌山憲俊さんは「森を利用することを考えないと里山は荒れていく」と語り、体験が森との関わりを考えるきっかけづくりになることを願っていた。