祝20歳 悔しさ糧に前へ コロナ偽陽性でIH出場停止の元松本第一高柔道部員が再会
令和3年度の全国高校総合体育大会(インターハイ、IH)の柔道競技で出場権を得ながら、新型コロナウイルス禍により出場辞退となった松本第一高校柔道部の当時の3年生の「成人を祝う会」が2日、浅間温泉1の帰郷亭ゆもとやで開かれた。同大会をはじめ多くの経験ができなかった部員の20歳を祝おうと保護者たちが企画。津金武寿総監督(63)や津金謙太監督(35)も出席し祝った。
当時の部員10人のうち、8人が出席した。武寿総監督は「悔しい思いをしたが、トラウマ(心的外傷)にすることなく、前に進んでいってほしい」と語り掛けた。全員でビールなどをついだグラスを持ち、笑顔で乾杯した。
主将だった菅原翼さん(20)=中央大学柔道部=は「今も、こんなに頑張っていても、大会が突然なくなってしまうんじゃないかと思う時がある」と、簡単には晴れない気持ちを正直に話す。だが「全日本学生柔道体重別選手権大会でベスト8になり、講道館杯に出場したい」と夢も力強く語った。
謙太監督は「なんとか出場させたい」と多方面に働きかけた当時、多忙すぎて記憶があまりないという。「大学生や社会人として、今も柔道を頑張ってくれているので、よかったなあと思う」と笑顔で語らう教え子たちに目を細めていた。
企画した保護者の百瀬直美さん(48)は「卒業式の日、謙太監督が涙で言葉に詰まりながら『お前たちはよくやった。二十歳になったら会おう』と言ってくれた。実現できて良かった」と話した。
同校柔道部は令和3年8月、新型コロナのPCR検査の判定が偽陽性の可能性があるにもかかわらず、インターハイに出場停止となった。