連載・特集

2024.1.3みすず野

 元日の夕方、酔眼を見開く地震があった。緊急地震速報が流れる中で大きな横揺れが続いた。ずいぶん長い時間に感じた。松本市は震度4。能登半島で発生した震度7の大地震だと知る。何度も流れる地震速報、大津波警報発令。一夜明けると、さらに被害が拡大している実態が明らかになった◆帰省した家族を囲むなど、元日のだんらんを楽しんでいる家庭が多かっただろう。地震は一瞬で人命を奪い、住宅を破壊した。火災で焼き尽くされたようになった色のない街が、地震の恐ろしさを増幅させる。被災者を収容する施設は十分だろうか◆地震だけでなく、台風などの自然災害も毎年発生する。その度に避難所の様子が伝えられるが、東日本大震災から間もなく13年がたつのに、ほとんど当時のままのように見える。冬なら十分な暖房機能を備えてプライバシーを守れ、長期間滞在できる設備が必要だ。それはもちろん、国の仕事だ◆被災者は心身共に疲れ、大きな不安を抱える。そのためなら、どれだけ税金をつぎ込んでも、誰も文句は言わないだろう。幸い中信地方はほとんど被害がなかったが、災害への備えはおろそかにできない。