連載・特集

2024.1.31 みすず野

 毎週火曜日に掲載されている日本気象協会の「気象あれこれ」の昨日付は、100年前と比較した松本の寒さがテーマだった。年平均10日くらいあった真冬日が、ここ10年ほどは2日までに減少しているという。その理由は地球温暖化の影響が考えられるそうだ◆「キン、コン、カンと音を立てそうな冬の夜」と、開高健が書いたのは40年ほど前(『開口一番』新潮文庫)。そういう夜が確かにあったと思い出す。子どもだったから、布団に潜り込めばたちまち眠りに落ちたが、寒気に包まれている実感はあった◆角田光代さんは「冬の光」と題したエッセーで「冬の日射しは夏より尖っていて、木々や家々の輪郭をよりくっきりと光らせる。空気が澄んでいて、遠くの山は書き割りみたいに迫って見える」と描写する(『冬の本』夏葉社)◆真っ青に晴れた空の下に、雪を頂いた北アルプスの真っ白な山並みが、北へと延びている。この季節、毎年見ているのに、その度に強く引き付けられる。雪が少ない冬で、厳寒というような日は少ない。冬らしい毎日が自然ではあるとは知りながら、雪かきを免れるだけでもありがたい。明日から2月。