連載・特集

みすず野2024.1.15

 1月は決められた寺社の行事がたくさんあり、そのうちのいくつかが紙面に載る。取材してきたもろもろの行事を執り行う年齢になって、10年以上になる。そのうちのひとつが、17日の山の神祭だ。山仕事の1年の無事を祈って、各地で行われる◆地元の祭りは、林野事業を担当する組合の役員が、弓矢を手作りして奉納する。その弓で年ごとの恵方に向けて矢を放つ地区が多いようだが、地元は奉納だけだ。弓は柳の枝を使って作る。ネコヤナギのある場所を覚えていて、毎年同じ場所の枝を取る。矢はカヤを使う◆何本か取ってきた枝のうち、使わなかったものを放っておくとかなり長い間枯れない。花瓶に生けるとすぐ根が出る。挿し木にしたら庭でぐんぐん成長し、ここ何年かこの枝を使っていた。昨年、隣家の二階の窓を越えそうになり、慌てて職人を頼んでせん定した◆早朝、役員が集まって神事を行う。金融機関を定年退職して資格を取ったという地元の男性が神職を務めてきたが、高齢で引退されてしまった。昨年は、男性からこれまでの祝詞を借り、一部を改めて役員が読み上げた。小さな社の手作りの祭りは、今年も続く。