政治・経済

松本市 環境教育10年で手応え 園児や児童食品ロス敏感に

環境教育を受けた芳川小学校3年生から市に届いた感想の手紙

 食べられるのに捨てられている「食品ロス」の削減策の一環として、松本市が独自に取り組んできた子供たちへの環境教育が、丸10年となった。実施後の保護者アンケートでは毎回、8割の子供が家庭で環境教育を話題にして、半分以上が意識や行動に変化があったとの結果が出ている。市は手応えを深めつつ、11年目の取り組みを進めている。

 園児への環境教育は平成24(2012)年に、児童へは28年に始まった。アニメーションやクイズ、紙芝居など子供たちの興味を引く内容を多用して飽きさせずに、国内の食品ロスの年間排出量、日本の食糧自給率など大事なことを伝えていく。構成も市が手掛け、身近なごみの分別と食べ残しについて、理解を深められる内容を心掛けている。
 昨年度は公立、私立合わせて64の保育園と幼稚園、29の小学校で実施した。実施後のアンケートの中で、子供たちに見られた行動変化のうち最も多いのは「残さずに食べる」だった。家族の食べ残しを注意したり、ごみの分別を買って出たりする子供も増えた。子供の行動が保護者にも影響し、買い物で販売期限の迫った商品を積極的に選ぶ「手前取り」をしたり、安いからと買いだめすることがなくなったりしたとの記述が見られた。
 今月は国が定めた「食品ロス削減月間」で、30日は「食品ロス削減の日」となっている。松本発の「30・10(さんまる・いちまる)運動」(宴会の開始30分間と終了前10分間は食事を楽しむ)が基になっており、羽田野雅司環境エネルギー部長は「環境教育を受けた意識の高い子供たちが大人になれば食品ロス削減やごみの分別が進む。先進地として今後も取り組んでいきたい」と話している。