山形小4年生 黒川堰の歴史学習 上條重幸さんが学校に新米贈る

水が少ない地域に農業用水を送り地域の米作りを支えた黒川堰の歴史や役割を次世代につないでいこうと、東筑摩郡黒川堰土地改良区の理事長で農業を営む上條重幸さん(75)が3日、山形村の山形小学校へ新米のコシヒカリ約60キロを贈った。上條さんの講話もあり、水について学ぶ4年生の児童たちが堰の歴史や堰を作った先人たちの苦労と功績を学んだ。
校長室で贈呈式を開き、児童会で給食委員を務める4年生の児童3人が代表で受け取った。堰の恩恵を受ける上竹田や下竹田の田んぼで上條さんが栽培した米で、後日、学校給食で全校児童が味わう。竹野入漣君(9)は「早く食べたい。みんなで味わって食べたい」と感謝を伝えた。
講話では上條さんと同改良区事務局の山口幸美さんが、昔の人が手掘りしたトンネル状の石積み水路(隧道)の写真や、堰全体のパネルを示して解説。水が少なくアワやヒエを主食にしていた竹田地区の人たちにとって米作りが念願だったこと、黒川の水を村まで運ぶ(現在は梓川から取水)ため難工事を重ねたことなどを紹介した。
明治26(1893)年に通水した後、トンネル工事や大正・昭和の大規模改修工事で水を供給できる範囲が大きく広がった。最も工事の難所だった追平隧道は昨年、国の登録有形文化財に指定されており、上條さんは「地域の誇りでもある。水の恵みに感謝する気持ちを忘れず、おいしい米を味わってほしい」と願っていた。
増沢美紗さん(9)と池田千楓美さん(10)は「昔の人が大変な思いをしてできたことが分かった」と関心を高めていた。