政治・経済

安曇野産木材活用へ情報共有 需要と供給「見える化」年内に試験運用

木材の供給と需要の各種情報を書き込む画面。年内に試験運用を始める

 安曇野市の里山再生計画に基づく取り組みの一つ「里山木材活用プロジェクト」は、木を伐採する森林組合と、板や構造材に加工する事業者、加工された木材を活用する設計士らが情報を共有する新たな仕組みを構築している。インターネット上で伐採の計画と在庫のある材、住宅などの建設で使用する材の情報を共有することで安曇野産の木材の地産地消を進める。情報共有の仕組みはほぼ完成しており、微調整を経て年内に試験運用を始める。

 「木材活用見える化シート」に森林組合は伐採地や樹種、樹木の平均直径、量などの伐採計画を、事業者は材の規格や価格、数量をそれぞれ記入する。設計士はどのような建物を建てるのに何の材が必要なのかを記載することで、供給側と需要側をつなぐ仕組みだ。
 「安曇野材がいつでも活用できる環境をつくろう」(市耕地林務課)と、プロジェクトの中で令和4年度に情報共有の仕組み構築の構想が出された。情報共有によって需要に合わせた伐採や製材、伐採の計画や在庫の材を参考にした設計につなげる。林業全体が利益を上げやすくなり、地元材の活用とともに里山の整備促進にもつながればと期待している。
 市内では太平洋戦争後に植えられたアカマツが伐採時期を迎えている。市耕地林務課は「遠くに木材を運べば移送のために二酸化炭素が排出される。SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも地域で回せていけるのが理想」としている。

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