政治・経済

奈川地区持続へ来月 計画策定 松本市 スキー場の在り方も検討

野麦峠スキー場のゲレンデ。観光施設の新たな展開は、奈川の地域再生の重点的な取り組みの一つだ

 人口減少が著しい松本市奈川地区について、市と地域住民、有識者でつくる協議会が8月、地域存続の危機を乗り越えるための計画を策定する。約10年先を見据え、住民生活の下支えや働き口の創出、子育て環境の充実などの取り組みを、市と地元が協力して進める。赤字経営が続く市営野麦峠スキー場の今後の方向性も、重点の一つとして年度内に判断する方針だ。

 「持続可能な奈川地区推進協議会」(会長=勝山裕康・奈川地区町会連合会長)が定める計画で、題名は「奈川のみかたをふやす道標」。人口の減少幅を抑え、移住者を増やすために福祉、教育、観光など幅広い分野の政策を盛り込む。
 重点的な取り組みは▽観光・交流施設の新たな展開▽保育園や小中学校の今後の可能性▽移動手段の確保▽クラインガルテン(滞在型市民農園)の新たな在り方―の4点で、学校での「自由進度学習」導入、リモートワーク拠点の整備などを視野に入れる。利用が低迷する野麦峠スキー場は、市が管理費として年に約1億6000万円を投じている。一方、地域のランドマーク的存在として住民の思い入れは強い。同協議会は夏場の地元活用策などを社会実験として行い、存廃を含めて検討する。
 奈川は人口減少が近年加速し、住民自治の弱体化が危ぶまれている。一方、自給自足や山遊びのある暮らしを求めて移住する若者も徐々に増えている。嵯峨宏一副市長は「計画倒れに終わったら地域の再生が難しくなる。時間との闘いで、政策実行プロセスをできるだけ短縮する」と話し、自らを中心に庁内調整を進めるとしている。
 勝山会長は「5~6年前から存続が難しい状況にあることを認識していた。市が一緒に課題解決に取り組んでくれるのは心強い」と期待を示した。

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