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登山の安全 先人に祈る 上高地でウェストン祭

青空と山を背に「ウェストンを讃える歌」を合唱する安曇小の児童たち

 日本アルプスを世界に紹介した英国人宣教師ウォルター・ウェストンの功績をたたえる「第77回ウェストン祭」(日本山岳会主催、同信濃支部主管)が4日、松本市安曇の上高地で開かれた。梓川右岸のウェストン碑の前で、地元の安曇小学校の児童が歌を披露したり、記念講演が行われたりし、多くの観光客も参加して黙とうをささげ、登山の安全を願った。

 安曇小学校6年生の大朏つばささん(11)と内木和花さん(11)が、岩にはめられたウェストンのレリーフに献花した。爽やかな風が吹き抜ける中、4~6年生の8人で「ウェストンを讃える歌」など2曲を歌い、青空と緑の森に澄んだ声が響いた。
 昭和33(1958)年の第12回の同祭で披露された詩人・尾崎喜八の詩の朗読や、雑誌『山と渓谷』の元編集長・神長幹雄さんの記念講演も行われた。
 昭和44年の同祭の記念手ぬぐいを持って訪れた、神奈川県藤沢市の本多美紗子さん(78)は「山好きだった父がお土産にくれたもの。私も18歳から登山をしているが、初めてウェストン祭に来ることができて涙が出た」と話していた。
 信濃支部の東英樹支部長(74)は「ウェストンが愛した上高地をもっと多くの人に知ってもらい、後世に残したい」と語り、天候に恵まれ盛大に開催できたことを喜んでいた。

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