連載・特集

2023.6.3 みすず野

 歴代の『三省堂国語辞典』と、その前身の『明解国語辞典』から削除された項目を取り上げ、解説した『三省堂国語辞典から消えたことば辞典』(見坊行徳)・三省堂編修所編著)は、どのページを開いてもつい読みふけってしまう◆例えば「エムディー[MD]」は「デジタル録音・再生のための、直径六・四センチのディスク」の説明で、平成13(2001)年の第5版で採録された。令和3年で生産終了となり、知らない世代も増えつつあるとして昨年の第8版で消えた◆写真撮影用の「フラッシュ」は「[写真で]せんこう(閃光)電球をさしこんで光らせる道具」とあり、平成26年の第7版で削除。取材現場では40年前でもほとんど見られなかった。言葉はずいぶん長生きだったのだ◆同書は「項目の不在によって、その語が指すモノやコトへの思い入れが否定されるわけでもない。『消えたことば』すべてに同じことが言える」と説く。消えた言葉では高校のサークルなどの「社研」、「ソノシート」「ながら族」、ラジオの波長を合わせる「バリコン」などが懐かしい。そうそう、服装の「ニュートラ」なんて言葉も載っている。