連載・特集

2023.6.10 みすず野

 きょうは「時の記念日」。家の中では掛け時計や置き時計で時刻を知る。朝はテレビ画面に表示される時刻数字を見ている。外出時には腕時計を着けるのが当たり前のように思っていたが、このごろはスマホで時刻を見る人も多いようだ◆高校入学時に、初めて腕時計を買ってもらった。当時は世の中がそうした慣習で、春にはテレビコマーシャルや新聞のチラシに、その年の新しいモデルの腕時計があふれていた。全く隔世の感がある。万年筆も同様だった◆この腕時計は国内の時計メーカー製で、今も現役でコチコチと動いている。完全防水、自動巻き、日付・曜日付きという、あのころのスタンダード。ベルトは何度か付け替えたが、本体は買ったときのままだ。3日で2分ほど遅れるようになったがほかに不都合もない。主に農作業時に着けている◆この腕時計は、半世紀ほど常に身近にあって時を刻み続けてきた。その時間の中で大人になり、ありがたいことに、なんとかおおむね穏やかに、年を重ねてきた。幸いだったのは、平和な日々が一日も途切れずに続いてきたことだ。この先はどうだろう。それが気になってしかたない。