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市のフードシェア仲介1年 食品ロス削減1・6トン

賞味期限間近のため出品された梓川産のもち米の発芽玄米(加工組合さくら)

 店舗から売れ残りそうな食品や余った料理などを専用サイトに割安で出品してもらい、希望者に提供して食品ロスを減らす松本市の仲介サービス「まつもとタベスケ」が、昨年2月の運用開始から1年余が過ぎた。購入成立は15日現在で321件、食品ロス削減量は1.6トンで、一定の成果を挙げている。ただ出品経験のある店舗数は市内11店にとどまっており、利用のすそ野を広げるのが課題だ。

 県内で同サービスを運用する自治体は松本のみ。昨年2月から試行し、同4月に本格化した。消費者はサイトで欲しい商品を購入予約し、店舗で受け取る。市内の協力店登録数はパン店、和菓子店、オーガニック食材の取扱店など35店舗。青果卸業者が出品する野菜・果物の詰め合わせは人気で、すぐに購入予約が入るという。
 市環境・地域エネルギー課によると、購入成立件数はほぼ同時期に運用を始めた甲府市より多い。一方で、出品経験のある市内の協力店は試行期間の5店舗から大きく増えていない。出品は基本的に不定期のため常時掲載されている訳ではなく、廃棄が迫る食材によっては受取期間が短いため購入が成立しづらい事情も抱える。
 鈴木博史課長は「出品が増えないと注目度は上がらないが、かといって出品をお願いできない。購入が成立しやすい環境づくりを模索したい」とし、年度内に協力店と意見交換する考えを示す。サイト登録者数は県内に3100人以上いるが、比較的関心の高い若年層には知られていないとし、定着に向けて若者と利用促進策を考えたいとしている。