連載・特集

2023.4.18みすず野

 図書館に行かない日のほうが少ない。きょうは松本か安曇野、それとも塩尻か。近くて蔵書が多いだけなら松本へ向かえばいいのだが...一番の決め手は目的と、その日の気分だ。通うにつれて館ごとの特色や利用法が分かってきた◆松本の書架に並ぶ『日本の名随筆』シリーズは「恋文」や「駅」などとテーマ別に編まれているので、書きたい内容が決まっていて何か取っかかりを探すのに都合がいい。好きな作家の文章や思い出から話題を広げられる◆行事のいわれや語源を知りたいときは安曇野へ行く。柳田國男や南方熊楠らそれぞれ索引付きの全集が手に取りやすく、碩学の講義を聴ける。塩尻は筑摩書房を創業した古田晁の出身地とあって、ちくま文庫がそろう。思索や古典の森に分け入ったり、ふらりと「居酒屋」を巡ったり。漫画もある。先日は『赤塚不二夫のだめマンガ』が面白くて、つい『バカ田大学なのだ⁉』も借りてきてしまった◆市議選に続き村長・町村議選も始まる。もちろん例え話だが―もしも図書館を造るとしたら。望ましい使い勝手とか、よその街に自慢できる特色を住民一人一人が考える機会でなかろうか。