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「松本の顔」パルコが閉店へ 市民からは驚きの声

買い物客が出入りする松本パルコ(27日、伊勢町通り側入り口)

 松本平のファッション発信地として、40年近く親しまれてきた松本市中心街の「松本パルコ」が2年後に閉店することになった。街中を行き交う人からは驚きや寂しさを訴える声が相次いだ一方、東に1キロも離れていない場所に大型商業施設・イオンモール松本(イオン)が平成29(2017)年に開業後は、パルコを訪れる回数が減っていたという人も少なからずいた。

 閉店の一報はパルコに慣れ親しんだ人たちに衝撃だった。松本市中央2の公務員女性(59)は「ものすごくショック。若いころから今まで本当によく通った。長野と松本を比べた時、『パルコと空港があるから、松本が勝ち』なんて話もよくした」と寂しがった。大町市から訪れた女子中学生は「月に1回ほど写真シールの撮影に来たり、服を買いに来たりしていた。なくなると遊び場を失う」と残念がり、松本市梓川倭の会社員男性(49)は「高校生の時、アルバイトをして5万円もするスカジャンを買った思い出の場所なのに」と驚いた。
 商都・松本の顔だった。近くでセレクトショップを営む矢口正和さん(49)は「松本の街にとって象徴的な存在。20万規模の都市にパルコがあるのは奇跡的で、松本にパルコがあることが喜びだった」と話し、安曇野市豊科の会社員・高砂千尋さん(28)は「ハイブランドの店もありイオンとは違うと捉えていた」と語った。
 一方、競合店が郊外に次々と誕生した。6歳の娘を連れてパルコ前を通りかかった大桑村の40代主婦は「子供がいるとイオンの方が使いやすい」と話し、山形村の20代看護師の女性は「テナントが減っている印象。イオンができてからはそちらに行く機会が多かった。ネットでも買い物ができる」と話した。
 近くで酒・たばこの店を営む太田浩行さん(65)は「年に数日のパルコ休業日は人通りが本当に少なくなる。閉店したらどうなるのか。商店街として考えなければ」と話した。