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豊科郷土博物館友の会 戦争の体験談・資料を収集へ 戦後80年で実態把握し、記録・保存

アンケート調査の準備を行う友の会戦時生活部のメンバー

  戦後80年の節目に合わせ、安曇野市豊科郷土博物館友の会の「戦時生活部」は近く、戦時中の体験談や関連資料などを集めるアンケート調査を、市内全域を対象に行う。戦争体験者が高齢化で減少し資料の散逸も目立つ中で、安曇野での戦争実態をできるだけ把握し記録保存に役立てる。11月に開く展示会で成果を発表する予定だ。

 今月13日付の新聞折り込みで約2万6000世帯に用紙を配布する。戦時中の生活の様子や、手元にある当時の物品などについて情報提供を呼び掛け、具体的な内容を選択式で答えてもらう。その後、部会員が必要に応じて個別に連絡し、聞き取りを行う。家族や知人から伝え聞いた話や感想を書く記述欄も設ける。
 市内にはかつて、旧陸軍松本歩兵第50連隊の演習地が穂高有明にあり、昭和20(1945)年5月には穂高地域の2カ所が空襲を受け、被害があった。満蒙開拓青少年義勇軍として旧満州(現中国東北部)に渡った人、特攻隊で命を落とした人もいる。
 当時の空襲について調べる部会員の藤原恵正さん(70)=穂高柏原=は「想像以上の体験をした人が大勢いるが、個人では調べきれない。幅広く情報を集めたい」、唐木博夫さん(72)=豊科=は「物品だけでなく、その背景にある人々の思いや歴史を掘り起こすことも大事だ」と全市的に調査する意義を強調する。
 市制施行20周年記念の市民提案事業として行い、配布用紙には太田寛市長のメッセージも添える予定。
 発案者で元郷土博館長の部会員・百瀬新治さん(73)=堀金烏川=は「直接体験でなくても、ささいな伝聞でもいいので協力してほしい」と呼び掛けている。
 アンケートの回答・返送は5月15日までに郵送やファクス、電子申請フォームなどで行う。
問い合わせは百瀬さん(電話090・3090・2578)へ。