政治・経済

人口対策 将来見据え注力 上松・大屋誠町長 あす退任 2期8年 住民と対話、産業振興も

2期8年で使った手帳、自転車町長室で使ったヘルメットを前に、インタビューに応じる大屋町長

 上松町の大屋誠町長(69)は4日、2期目の任期満了で退任する。平成29(2017)年の就任以来、役場新庁舎建設や産業振興、子育て環境の整備、新型コロナウイルス禍の対応などに奮闘した。2期8年を終え、次期トップへの町政引き継ぎを前に思いを聞いた。

 1期目当初から、自転車で移動して住民と対話する「あおぞら自転車町長室」を実施。事業所や団体、住民グループなどを訪ね、町政課題を語り合った。山間部で「電動自転車のバッテリーがなくなり、重いのを我慢して押して行ったこともあるが、楽しかった」と懐かしむ。
 一方、1期目の後半にコロナ禍に直面した。感染拡大防止のため集会などでの直接対話が難しくなり、「2期のうち半分で、住民とのコミュニケーションが難しい時間が流れてしまった」と悔やむ。
 2期目には、取り組んできた才児牧場(小川)への養豚業者誘致で、タローファーム(上田市)の進出が決まった。「地権者、地元の皆さんのご協力を得て、順調に進めることができた」と感謝し「豚のブランド化や販売などについても夢があったが、それは次の町政に託したい」と話す。
 コロナ禍とともに危機対応力が試されたのが、令和3年8月の大雨災害だ。倉本、立町両地区では5日間の断水が発生。職員総動員でポリタンクを運ぶ給水活動をした。「職員にとっても平時とは違う動きを学ぶ貴重な経験になった」と話す。
 小中学校の給食費無償化や移住定住促進の支援制度づくりなどにも取り組んだ。全国的に少子高齢化が進み人口減が避けられない中、地域のあり方を模索し「数十年先を見据えた長い取り組みとしてやってきた」と語る。そんな中、令和5、6年には転入者数が転出者数を上回る「社会増」となり「うれしい」と喜ぶ。
 「与えられた任期でのミッションはやり切ったといえる」と力を込める。町政のバトンを引き継ぐのは、1期目から「二人三脚でやってきた」と信頼する元副町長の村田広司氏(68)だ。「一緒に育ててきたものが、実のあるものになってほしい」と今後の施策展開に期待する。