政治・経済

過疎対策をふるさと納税で 松本市が安曇・奈川地区の移住起業家に補助金

 松本市は本年度、少子高齢化で人口減少が進む安曇、奈川地区の過疎対策として、両地区で起業を目指す人に補助金を交付する事業を新たに始める。ふるさと納税を活用したクラウドファンディング(CF)で寄付を募り、さらに市が上乗せして補助する。市アルプスリゾート整備本部によると、安曇・奈川地区は近年、豊かな自然環境が注目されて宿泊施設や野外ガイドで起業する人が増えているとし、補助制度の創設を移住促進につなげる。

 南安曇郡の安曇村と奈川村だった両地区は、国が進めた「平成の大合併」で平成17(2005)年4月1日に東筑摩郡四賀村と南安曇郡梓川村とともに松本市に合併し、今年で20年になる。合併当時に両地区で約3500人いた人口は約1800人まで減り、市は移住促進で過疎化に歯止めをかける方策に着手した。
 補助制度は市内に住所がある個人事業者、法人、団体が対象。ふるさと納税を活用することで通常のCFより寄付金が集まりやすく、起業家は市の上乗せ補助(上限100万円、設備費限定)が得られる利点がある。市が契約している経営アドバイザーの助言を無料で受けられる特典もある。
 安曇、奈川地区の山岳観光プロモーションを専従で行う「アルプスリゾートプロジェクトマネジャー」の肥後利晃さん(32)は「両地区を持続可能な形で維持するため、過疎対策の一つの手段として制度を積極的にPRしていきたい」と話す。