3月31日に閉店する百貨店の井上本店 最後の週末 店内にぎわう 店員と客が涙の再会も

3月31日に閉店する百貨店・井上本店(松本市深志2)が最後の週末を迎えた。子供連れの家族や年配者など幅広い世代が訪れ、にぎわっている。お世話になった店員にあいさつに訪れる客の姿もあちこちに見られた。
4階の子供服売り場では、塩尻市広丘堅石の保育士・小林道代さん(56)が約20年ぶりに店員の高見理恵さんに会いに訪れた。小林さんの長女(27)が幼かった頃、高見さんに相談しながら子供服を購入していたという。その長女が8月に出産することから、「高見さんの元で孫の服を購入したい」と訪れた。
久しぶりの再会だったが、互いにすぐに相手のことが分かり、小林さんが「よかった。いてくださって」と声を掛けると、高見さんの目から涙がこぼれ落ちた。小林さんは男の子だという孫の服を、高見さんの勧める品から選び「先週、性別が分かったばかり。間に合ってよかった」と笑顔を見せた。高見さんは「覚えていてくださって本当にうれしい」と喜んでいた。
松本市桐の髙橋功さん(73)と芳子さん(69)夫妻も「最後に」と訪れた。芳子さんは「井上(の本店)は松本市内にあって当たり前の百貨店だった。寂しい」と語り、功さんは「街に足が向かなくなってしまうかな」と話していた。
31日の営業は午前10時~午後6時半となる。午後5時半から西側の市道を歩行者天国にし、6時45分から閉店セレモニーがある。