開田高原・木曽馬の採草地 環境省の「自然共生サイト」に認定

木曽馬の飼い葉や敷き草となる干し草を刈る採草地(草カッパ=草刈り場)の再生・保全活動が進む木曽町開田高原が、生物多様性の保全が図られているとして環境省の「自然共生サイト」に認定された。開田高原を拠点に活動する市民グループ「ニゴと草カッパの会」が管理する草地約8500平方メートルが対象で、認定されたサイトの名称は「木曽馬の里地里山」。木曽馬文化を継承し、自然豊かな草地が維持されていることが評価された。
同会は平成30(2018)年、昔ながらの馬文化の継承と採草地の保全を目的に活動を開始した。採草地で草を刈り、束にして積み上げる「ニゴ」を作ったり植生調査をしたりしながら草地再生に取り組んでいる。
認定は県内11例目。同省信越自然環境事務所(長野市)が19日、町役場で同会に認定証を授与した。会長の田澤佳子さん(上松町)は、採草地が多様な植生に寄与していることを紹介し「先人が木曽馬文化と草地を共に残してきたからこその評価。文化と自然を次代につなげていきたい」と話した。
自然共生サイトは、企業や民間団体などの取り組みで生物多様性の保全が図られている区域を認定する国の制度で、昨年度始まった。1年に2回の審査がある。今回の認定は令和6年度後期分で、同事務所管内(長野県と富山県)での認定は同会のみ。認定サイトは今後、OECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する区域)として国際データベースに登録される予定。