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50年収集した岩石の標本コレクション 信大名誉教授の原山智さんが寄贈の意向

コレクションの整理をする原山さん

 信州大学名誉教授・理学部特任教授の原山智さん(72)=松本市大手5=が半世紀にわたる研究で集めた岩石の標本コレクションを、松本市に寄贈する意向を示している。地質学を専門とする原山さんが北アルプスの形成に関する研究などを通じて、関係機関に許可を得て県内外で採取してきた貴重な標本群だ。原山さんは、郷土の誇りになるよう採取地である市内での活用を願っている。

 コレクションは1万~2万点ほどとみられ、北アルプスの成り立ちを語る上で重要なサンプルだ。花こう岩としては非常に新しい部類に入る80万年ほど前のものや、2種類のマグマがぶつかり合い、急冷したために2色に見える花こう岩などもある。
 原山さんが、市内中学生のアルプスタディ(教文一日学習)などでかかわってきた市教育文化センターに昨年12月に相談した。研究論文の証拠となる標本であるため、本来ならば大学での保管が望ましいが、全国的に大学に余裕がなくなっている背景もあり、原山さんは「北アルプスで採取した資料はそう簡単に手に入るものではない。社会的にも申し訳ない」と寄贈を考えた。
 現在、原山さんはコレクションを整理し、目録作成を急いでいる。市側も受け入れを検討している段階で、学校の授業などで使えるよう貸し出す資料群の中に加える案も出ている。原山さんは「研究対象にしてもらうだけでなく、地域の人たちが地域の魅力を知るきっかけとなり、若い人の郷土の誇りにつながればうれしい」と話していた。

 コレクション活用の第一歩として、22日午後3時45分~5時、市教育文化センターで「新解釈!?牛伏寺断層事件簿~牛伏川フランス式階段工はなぜそこに?」と題した講演がある。前日までに申し込みが必要で、問い合わせは同センター(電話0263・32・7600)へ。