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高校生が「先生」になり日本語指導 松本のボランティア講座で活躍

受講者と肩を並べ、日本語を教える高校生(右)

 松本市中央1の中央公民館(Mウイング)で毎週火曜日の夜に開かれているボランティア日本語講座で、高校生がボランティア講師の担い手として活躍している。日本語を母語としない受講者は新型コロナウイルス禍後に急増しているが、異文化交流を求める若者が需要の受け皿となっている。

 講座では全部で17人のボランティア講師が活動している。このうち高校生は4人で、一昨年4月の1人から大幅に増加した。
 松商学園高校(松本市)3年の清沢唯斗さんは、昨年3月にスイス人留学生の友人と一緒に講座を訪れたのがきっかけでボランティアに登録した。日本での生活や文化をイラストで表した教材を使って受講者と一緒に日本語を学ぶ。「どうしたら辞書を使わずに伝わるかを考えるので勉強になる」と手応えを感じる。清沢さんとペアを組んだアメリカ人のケン・スパールディングさん(71)も「互いに教え合っている。年の差はあるが関係ない」と笑顔を見せた。
 同校3年でインターアクトクラブに所属する喜多実日子さんも昨年3月から講座に参加している。「海外への視野を広げ、正しい日本語を学び直す良い機会にもなる」と話した。
 講座には昨年12月時点で20カ国の国籍を持つ60人の受講者がいる。一昨年同月の16人から4倍近くに急増し、講師不足解消が喫緊の課題である中、新たな担い手の登場は福音だ。講座を主催する中央公民館の清水春生主事は、若い担い手が登場した背景に「探究授業などで高校生の視野が広がっているのでは」と分析する。若手の活躍に期待しつつ「未来の可能性を広げるきっかけとして参加してくれるといい」と願っている。