安曇野市職員採用試験 受験者数確保に苦心 4年で半減 新たな試験方式採用へ

安曇野市が市職員採用試験の受験者確保に苦心している。民間企業の採用活発化や賃金上昇を背景に受験者数が右肩下がりで減り続けており、令和2年度に123人だった受験者数は本年度に61人と半減した。市は打開策の一つとして、受験者が試験の日程や会場を選べるテストセンター方式を新年度に初めて取り入れ、受験者の利便性を高めて受験者の増加につなげる。
社会人枠の10月採用試験での導入を予定している。職員課は「結果を見て4月採用に広げるかどうかを考えたい」とする。
テストセンター方式は、全国各地の予備校などを会場に1カ月間程度の受験期間を設定し、受験者が日程や最寄りの会場を選択できる仕組み。県外に出ている学生やIターンなどの受験者が増えると期待されている。2次と3次の面接試験は市役所で実施する。
5日には対面とオンラインで市役所の職場説明会が開かれ、大学生や社会人ら約100人が参加した。採用担当者は、市の組織が11部局46課97係と幅広い分野に及ぶため「人事異動は一般企業の転職に相当すると言われている」とし、職務を通じて興味を広げられる利点も説明した。
東京都内の大学で経営を学ぶ市出身の1年生の男性(18)は「東京に出て地元の良さを一層感じた。公務員は安定しているが、やりたい仕事があるなら民間の方がいい。民間企業も視野に入れて考えたい」と語った。
受験者数を増やすことは優秀な人材の確保にもつながる。市は本年度、国家公務員の給与を民間企業と均衡させる人事院勧告に基づき、高校卒の初任給を2万1400円増の18万8000円に、大学卒の初任給は2万3800円増の22万円にした。ただ、大卒初任給を30万円超に引き上げる大手企業もあり、民間の賃金上昇ペースには追いついていないという実情もある。
職員課は「(テストセンター方式で)利便性を高め優秀な職員の採用につなげていきたい」とする。