山形の一番大きな木を伐採 民家のケヤキ惜しまれつつ

〝村で一番大きな木〟として地域住民に親しまれてきた山形村下竹田の民家にあるケヤキの巨木が伐採されることになり、25日に作業が始まった。木の一部が腐り、将来的に安全を確保して管理していくことが難しくなったため、所有者が伐採を決めた。作業は27日までで、地域のシンボルが惜しまれながら姿を消すということもあり、近所の人たちが見学に訪れている。
幹周り約7メートル、高さ約30メートル以上、直径約3メートルの巨木だ。大正の中頃と昭和の中頃に村長を務めた古畑家の屋敷の敷地内にある。昭和63(1988)年7月発行の村広報で、村で一番大きな木と紹介された(当時高さ36・9メートル)。現所有者で医師の古畑総一郎さん(59)=東京都=によると、近年は枝が落ちる回数が増え、敷地内建物の瓦が壊れるなどしていた。古畑さんの曽祖父で14代村長の藤茂さん(故人)、祖父で27代村長の一二三さん(同)など代々受け継がれてきた木のため、古畑さんは「伐採は残念で申し訳ない」とする。一方で管理や伐採の段取りに協力した周囲の人の温かさに触れ「これからも村を大事にしたいと感じた」と話す。医師で3年前に92歳で他界した父・藤一郎さんは特に木を大事にし「売ってほしい」という依頼があっても「古畑家にとって大事な木だから」と伐採しなかったという。
作業は大型クレーンを使って行われ、25、26日に枝や幹上部を伐採。27日に幹の下部が伐採される。見学した近所の真野好明さん(85)は「中学時代、友達と手をつなぎ幹周りを測って遊んだ思い出がある。6人半くらいの太さだった。孫は〝トトロの木〟と呼んでいる」と話し巨木の最後を見守っていた。