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塩尻・街の文具店マルナカ 5月末に閉業 感謝込め12日から売り尽くしセール

地域への感謝を語る絢子さん、文則さん、健一さん(左から)

 塩尻市大門泉町に店舗を構えて、文房具や事務用品を販売する「マルナカ」は、31日に閉業する。近年はデジタル化が進み、紙やペンなどの文具の需要が一昔前に比べて減っている状況で「(会社に)余力のあるうちに」事業を終えることにした。市内で数少ない文具専門店で、個人や官公庁、民間企業などに販売してきたが、74年の歴史に幕を閉じる。

 3代目社長の中村健一さん(54)によると、昭和26(1951)年に祖父の知夫さんが大門商店街で創業した。商店街でのイトーヨーカ堂の新店舗(現・ウイングロード)建設のために場所を譲り、平成3(1991)年に大門泉町に移転した。
 現在は健一さんや、父で2代目社長を務めた文則会長(83)、母の絢子さん(78)、従業員たちが切り盛りする。お客のニーズを聞いて商品を探し、仕入れ、柔軟に応えることを大切にしてきた。絢子さんは「断った物はないくらい。お客さんは欲しい物がないと切ながるからね」と話す。知夫(号・上條筑山)さんが書道指導者だったことから、書道用品を取りそろえているのも特徴という。
 塩尻に根差した会社として社会奉仕や地域交流の活動に力を入れてきた。従業員らが和太鼓連「桔梗太鼓」を結成し、各地で演奏の発表や指導もしている。
 健一さんら親子は「時代の流れで閉業となり心苦しいが、最後までお客さま一人一人を大事にしたい」と感謝の思いでいる。
 12~31日は閉店売り尽くしセールを行う。セール期間中の営業時間は午前9時~午後6時(土日曜日は午前10時~午後5時)。