連載・特集

2025.2.21 みすず野

 どうしてこんなことが起きるのかと動揺してしまうことばかりがここ何年か続いている。最初、起きたことに強い衝撃を受けながら1週間、1カ月、1年とたつうちに、何となく慣れてしまうというよくない状態が続く◆ロシアのウクライナ侵攻はその発端だっただろうか。当初、いまは21世紀じゃないか、何かの間違いではないかと思ったことを覚えている。それがもう3年になる◆米国のトランプ大統領がウクライナが土地を与えれば、ロシアは侵攻することなく、犠牲者が出ることもなかったと発言したと伝えられた。これは、米国が先住民のインディアンから土地を奪った時の論理と同じだという指摘を読んだ◆ライターの武田砂鉄さんは『今日拾った言葉たち』(暮しの手帖社)で「ウクライナ侵攻が始まった直後、日本でも反戦デモや戦争反対の声がSNSに数多く流れた」といい、その様子を平和ボケなどと言いながら冷笑する人たちがいたと指摘する。「壊れてしまったものをどうにかして取り戻してほしい、いち早く攻撃を止めてほしい、声は大きければ大きいほど届く。だから言う」と記した。小さいがその声に加わる。