チェロの魅力発信へ 信州チェロ協会が発足 松本で初コンサート

長野県を拠点に活動するチェロの演奏家や愛好家が、交流や研さんを深めながらチェロの魅力を発信する「信州チェロ協会」を発足させた。チェロに特化した協会は全国にまだ少ないが、チェロアンサンブルは近年盛んになりつつあるといい、楽都松本を本拠地に活動の幅を広げていきたい考えだ。記念の第1回コンサートが11日夜、松本市音楽文化ホールで開かれ、総勢20人余のチェロ奏者が心に染みわたる音色を響かせた。
小学生から60代までの会員が出演したほか、日本を代表するチェリスト、山崎伸子さんと山本裕康さんをゲストに迎えた。低音から高音まで、旋律も伴奏も自在に奏でるチェロの魅力を伝えようと、パッヘルベルの「カノン」や「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」などを選曲。その全てをチェロ4パートの編曲で演奏し、重厚で温かみのある音色が満員の観客を魅了していた。
才能教育研究会(松本市)のチェロ指導者・北沢加奈子さんの提案に県内各地の演奏家や愛好家が賛同し、昨年発足した。会長に北沢さんが就き、会員は約30人を数える。全国では日本チェロ協会のほか栃木県や宮崎県に協会があるが限られ、ゲスト出演した山崎さんは「才能教育発祥の地から波及してほしい」、山本さんは「スマホの時代にチェロだけでコミュニケーションを取るなんて素晴らしい」と話す。
協会は今後、会員を増やしながらコンサートやセミナーを開催していく。北沢さんは「チェロという楽器を通して音楽仲間が広がればうれしい。チェロを志す若者が将来故郷に戻った時に、演奏の受け皿にもなれるように」と願っている。