広がる子供の居場所づくり 松本市内の活動団体増加

松本市内で、子供の居場所づくりに取り組む動きが広がっている。市の「子どもの居場所づくり推進事業交付金」を受け、こども食堂や子供の生活体験などを実施する団体は本年度新たに6団体が増え、24団体が各地で活動している。交付金がスタートした平成29(2017)年度の6団体に比べて4倍に増えた。市は子供の健全育成につながる効果を期待している。
元町児童館は7月に「TAMARIBA MOTOJI」の名称で活動を始めた。中学生と高校生を対象に毎月2回活動している。瓜坂恵子館長(41)は「子供たちが笑顔で過ごしてもらいたい」と考え、市の交付金で調理器具などを購入し食事を提供している。旭町中1年の衣川歩希さん(13)は「友達と一緒に食べるのが楽しい」と笑顔で語った。
白板地区公民館を会場にする「だれでも食堂じょうねんすとりーと」も7月に立ち上がった。毎月最終土曜日に行われ、多いときで子供20人が生活体験や食事、学習などをしている。11月30日は、市に菓子などを毎年寄付している阿南自動車営業本部(和田)の宮尾良平さん(41)が、サンタクロースの格好で子供たちに菓子を配った。宮尾さんは「子供が笑顔になってくれうれしい。寄付に協力してくれている菓子メーカーにも報告したい」と話していた。
同交付金は子供の居場所づくりをする団体に活動費などを出している。食事提供や生活体験などの活動1回当たり4000~8000円を交付するほか、事業を始める団体には上限10万円を事業開始交付金として助成している。昨年度は18団体に計約540万円を交付した。
ただ、物価高騰が続き、活動費が足りずに赤字となっている団体は多い。市は各団体の要望を受け、事業運営交付金を見直して本年度は1回当たり250~500円引き上げた。市こども福祉課は「来年度以降、社会情勢や団体の運営実績を見ながら見直しを図りたい」と話している。
実施団体の活動日時は市の子育て応援サイトで確認できる。