木曽漆器工業協同組合制作の飯わん 全国展産業工芸品部門で入賞 理事・小島貴幸さんのトレーも

東京都で9月に開かれた、日本最大規模の漆器展示即売会「第59回全国漆器展」(日本漆器協同組合連合会など主催)の審査会で、塩尻市木曽平沢の木曽漆器工業協同組合が手掛けた品が、産業工芸品部門の経済産業省製造産業局長表彰を受けた。組合理事を務める伝統工芸士で曲げ物職人・小島貴幸さん(60)=奈良井=の作品も特別テーマ部門で、日本漆器協同組合連合会理事長賞を受けた。
組合作品はオリジナルの飯わん「まゆまり」で、ケヤキの木地に黒漆と青貝を施したもの、色を塗り重ねて研ぎ出し模様を出す堆朱技法を用いたもの(赤と緑)がある。高さ約8センチ、長径約11センチの縦長で繭に似た形だ。全国の漆器連合会で提唱する「めし椀プロジェクト」に沿い、消費者の意見を入れ製品開発した。審査員には「古典的な手法でありながらもモダンな空気」があり「新しく楽しい漆器の世界を感じた」と講評された。
小島さんの作品は樹齢400年超の天然木曽ヒノキを使った「曲げ物タンブラー・トレー」。トレーは長径15~27センチと大きさが異なる5枚一組とし、高さを変えた縁の形もユニーク。「食卓で使う時に、料理の邪魔をしないたたずまいは好感が持てる」と評価された。
審査展示には全国の14組合から124点が出品された。産業工業品部門では上位2席に当たる賞で、特別テーマ部門では3作品が受賞した。組合の武井祥司事務局長は「受賞は新しいものを開発する組合員の張り合いになる。昔ながらのものを見直すきっかけになってもらえれば」と話す。