政治・経済

防獣柵助成を農家単独でも 松本市が要件緩和 

令和4年度に波田地区に設置された電気柵。有害鳥獣による被害の増加で需要が高まっている

 松本市は、イノシシやニホンジカ、カラスといった野生鳥獣から農作物を守る防護柵や電気柵を設置する費用を助成する事業で、複数の農家でなくても申請ができるよう条件を見直した。中山間地域に分類される入山辺、今井、内田、本郷、四賀、奈川、安曇の7地区は単独の農家や農業法人でも9月から申請できるようになり、制度の利便性が向上した。

 市の助成事業「農作物食害防止事業」は平成20(2008)年に始まり、毎年1~5件ほどが採択されている。昨年の採択数は0件で、「2戸以上の農家が共同で実施する」とした条件を改善すべきだとの声が農家から上がっていた。市議会6月定例会の一般質問で、中島昌子氏(政友会)がこの問題を取り上げた。
 電気柵やネットフェンスの設置に必要な資材購入費の半額(上限なし)を助成する制度で、集落全体を取り囲むような大規模な侵入防止施設を設置する場合は国庫補助事業も活用できる。住民の合意が得られた地域に市が資材を提供し、地域住民が労力を提供する「協働方式」で防護柵の設置が進められている。
 令和4年度は波田で電気柵600メートル、安曇で電気柵・防護柵290メートルが設置され、市は計108万円を助成した。本年度は一般会計当初予算に195万円を計上し、要件緩和前に3件の申請があった。
 農政課の丸山行康課長は「有害鳥獣に悩む農家が活用しやすいようにした。緩和後の申請は今のところ0件だが、積極的に活用してもらえるよう周知を図りたい」と話している。