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お六櫛 制作実演でPR 薮原の中山道で旅人に 11月上旬までの日曜

街道沿いの古民家でお六櫛の実演を始めた井上さん(右)と柳川さん(左)。初日の9月29日は、旅人や地域住民とのおしゃべりにも花が咲いていた

 江戸時代から木祖村薮原に伝わる工芸品「お六櫛」を中山道を歩く旅人にアピールしたい―。櫛作りの職人らによる製作実演会が、11月上旬までの日曜日、薮原宿の街道筋にある古民家で開かれている。会場は旧中山道に面し、外国人旅行者をはじめとした観光客が顔をのぞかせ、小型ののこぎりを巧みに扱って無数に櫛の歯をひいていく伝統の技に熱い視線を送っている。手作り体験(磨き体験)もできる。

 今春、伝統工芸継承担当として村地域おこし協力隊に着任した井上慧さん(37)が発起人だ。お六櫛作りを授業で学ぶ地元の中学生が、友人と教え合う姿に伝承への可能性を実感したといい、井上さんの指導役を務める村お六櫛組合副会長で伝統保存部会担当の柳川浩司さん(68)に協力を仰いだ。
 お六櫛は村の特産品として人気を誇るが、職人の後継者不足が大きな課題となっている。井上さんは「中山道で櫛をひいて見せることから始めたい。仲間の輪が広がれば地域の活性化にもつながる」と期待する。初回となった9月29日は「宿場がにぎやかになるのは大歓迎」「毎日できないかな」などと地元住民の反応も上々だった。
 実演は11月3日までの日曜日(10月27日を除く)の午前9時~正午に行う。手作り体験はサンドペーパーで櫛を磨いて仕上げる工程を職人が指導する。料金は2500円で所要時間は30~40分。木の種類(ミネバリ、イス、ツゲ)、櫛の大きさや形、歯の細かさなどを選ぶことができ、ケースに入れて持ち帰る。