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国籍超えて御船曳行 穂高神社例大祭にALTの6人が初参加

氏子と一緒に御船を曳きながら商店街を歩く外国人参加者

 安曇野市の穂高神社で9月27日に営まれた御船祭りの本祭では、船形の山車「御船」の曳き手に氏子以外の外国人が初めて加わった。市観光協会の体験ツアーに参加したALT(外国語指導助手)で、日本文化を体感したい外国人と、曳き手集めに苦労する地元の思いが一致した。国籍を超えた仲間意識で、曳行は盛り上がった。

 穂高町区と等々力町区が合同で曳く長さ12メートル、高さ6メートルの巨大な大人船に、英国、米国、フィリピンなどの国籍のALT6人が加わった。曲がり角では、「アタマ西!せーの!」と声を張り上げる先導役の掛け声に合わせて力いっぱい綱を引き、方向転換が一度で成功すると、額に汗する曳き手の住民たちと一緒に手をたたいて喜びを分かち合った。
 英国人のクラダス・ジョンさん(44)=豊科北中ALT=は「音楽(おはやし)を聞きながら皆で引っ張るのは楽しい」。米国人のマクダウェル・サミーさん(35)=豊科南中ALT=は「なぜ船の形なのか。そのルーツが海から来た民族(安曇族)だと知り、びっくりした」と由来に興味を示していた。
 市観光協会が企画した曳行体験ツアーに、松本市のALT人材派遣会社が観光庁の補助採択を受けて参加し、実現した。来年度は外国人旅行者向けの参加者募集を前向きに検討する。協会の白澤勇一専務理事(65)は「安曇野を知り、御船祭りに関心を持ってもらうことで経済や地域力のアップにつなげたい」と話す。
 御船の曳行は氏子が担うのが原則だが、若手の参加が減っているという。穂高町区の降幡成敏区長(69)は「平日に当たると曳き手が少ないのは事実。(外国人の参加は)結構力になっている」と話し、来年度以降も受け入れるか、住民の声を聞いて検討する考えを示した。