高齢者送迎で松本市が補助金 住民有志の運営団体に
松本市は9月、住民有志が運営団体となって高齢者を通院や買い物先に送迎する「地域ボランティア輸送」などの活動に対し、補助金を支給する制度を新設する。郊外で高齢者の移動手段確保は課題となっていて、地域内交通の担い手を支援して活動を広げる狙いがある。市議会9月定例会に提出する本年度一般会計補正予算案に、関連費用50万円を計上した。
市内で住民有志が担っている高齢者の送迎は、ボランティアの運転手がマイカーやリース車を使用する「ボランティア輸送型」と、民間タクシーを活用する「乗り合いタクシー型」の二つがある。
ボランティア輸送型は新村地区、笹賀二美町2丁目町会、安曇地区大野川で実施されている。市は送迎時の事故に使える専用保険を1団体につき上限30万円で補助する。専用保険は1日単位(1100円ほど)で加入できる。これまでは運転手が任意保険に加入して活動しており、専用保険を補助することで運転手の確保にもつなげる。
乗り合いタクシー型は白板地区の放光寺町会や島立地区などで行われている。70歳以上と障害者が使える「福祉100円パス」の所有者が利用したタクシー料金のうち、運営団体が負担した料金の一部を補助する。補助額は1人1乗車150円とし、1台のタクシーに乗る人数が多いほど補助率が上がる仕組みとした。
新村地区のプチ送迎ボランティア会長・上條誠司さん(74)は「運営団体の会計が厳しいので、市の補助は大変助かり、活動の励みになる」と話す。市公共交通課の大塚友宏課長は「中心市街地は交通網が充実しているが、郊外は移動手段の確保に苦労している高齢者が多い。地域内交通の担い手に積極的に制度を利用してもらい、活動を各地域に広める支援をしたい」と話している。