介護事業者、現場の窮状訴える 上野千鶴子さんと車座集会

社会学者で東京大学名誉教授の上野千鶴子さんと、介護事業者の車座集会が24日、松本市大手3の市民活動サポートセンターで開かれた。介護現場の実態報告があり、4月の介護保険制度の改定に伴う問題点について意見を交わした。
制度改正で訪問介護の介護報酬が引き下げられ、疲弊している事業所の現状が報告された。特に小規模の事業所では働き手が高齢化して人出不足に陥る傾向が顕著だとし、事例報告者からは「待遇が悪く、若い介護士が希望を持って働ける業種でなくなっている。明るい展望が全く見えない」と窮状を訴える声が上がった。
上野さんは「介護保険が切り下げられようとしている。政府は給付と負担のバランスの名において給付を減らし、負担を増やしている」と政府の改定を改悪だと批判し、「介護に携わる人たちが国に声を上げることで、制度を守っていかないといけない」と呼び掛けた。
松本市のNPO法人ライフデザインセンターが主催し、福祉関係者約40人が参加した。上野さんは制度施行後24年間にわたって研究を続けており、介護現場の生の声を聞くために松本を訪れた。