連載・特集

2024.8.4みすず野

 暑くなると、足が向く場所の一つに滝がある。水が豪快に流れ落ちるさまは、眺めているだけでも涼が感じられる。滝つぼから舞い上がる水しぶきが、少し体に当たる場所まで行かれれば、なお癒やされる◆『信州の絶景はどのようにできたのか』赤羽貞幸・塚原弘昭監修(しなのき書房)に松本市安曇の乗鞍高原にある三本滝、善五郎の滝、番所大滝がテーマになった項目がある。「乗鞍三滝」は、いずれも同高原の北側を流れる小大野川にかかる。三つの中で、最も上流にある三本滝の説明が興味深い◆三本滝は、その名の通り三つの滝が集まっている。真ん中の滝の岩肌が他とは違って白いのに気付いている方は、理由まで調べたことがあるだろうか。「これは上流にある冷泉小屋の近くで湧いている硫黄泉の成分が表面に沈着したためであろう」。滝の水が変わらず流れている、歳月の長さをあらためて思う◆三本滝に行ったのは、もう20年近く前。駐車場から森林浴しながら、程よい距離を歩いた覚えがある。この原稿を執筆するうちにエアコンでは味わえない爽快な空気に触れたくなってきた。次の休みの天気は...。良さそうだ。