2024.8.22 みすず野
テレビのニュースの後、駅に置いたピアノを自由に弾く人たちの番組が映っていた。海外の駅で、さまざまな職業の人たちが、それぞれの腕前を披露していた。同僚とピアノが弾けたらいいなあと顔を見合わせた◆すぐにJR松本駅の自由通路に置かれたピアノを弾く自分の姿を思い描いてみたが、これはかなり難しそうだ。一度も習ったことはないし、短い指は機敏に動いてくれそうもない。こうした思いを抱く人は多いのかも◆評論家の川本三郎さんは「ピアノが弾ける人間が羨ましくて仕方がない」そうだ(『あのエッセイ この随筆』実業之日本社)。こういう人のために、1曲だけピアノを弾けるように教えてくれる中高年向けの音楽教室があるという。近所にもあり、レッスンを受けたいと思うが「どうも若い女性に教えを受けるというのが恥ずかしくて門を叩けない」のだと◆先生が若い女性なのかはともかく、初めての習い事は、緊張するし、たどたどしく鍵盤と格闘する姿をさらすのはつらいかな。そう、「いい年をして」という言葉が後に続く。来年の七夕の短冊には「ピアノを弾けるようになりますように」と書こうか。