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塩尻のうつリカバリーエンジン 「こころの健康出前講座」を開始

特別授業で生徒に語りかける長谷川さん(右)と青木さん(今年1月)

 うつの当事者同士が語り合うピアサポート活動に取り組む塩尻市の市民団体「うつリカバリーエンジン」は今夏、新事業として「こころの健康出前講座」を始める。学校や地域の求めに応じて当事者を派遣し、精神疾患の正しい知識や、心の不調に気付いた時の対処法を伝える。

 代表の長谷川洋さん(56)と副代表の青木良樹さん(34)が主に講師を務める。長谷川さんは37歳の時にうつ病を発症した。療養の苦しみと社会復帰の難しさを実感し、少しでも苦しむ人の役に立ちたいと考え、「ガレージとーく」(月1回ほど)を始めた。青木さんは体調の異変を2年間我慢した結果、深刻な症状に陥ったという。2人はこれまで、県事業の一環として高校で授業をしてきたが、体験を通して語り伝える機会をさらに増やそうと、独自事業も始めることにした。
 対象は県内の中学校、高校、大学などの教育機関だけなく、住民組織や自治体、団体、企業からの要請にも応じる。講座は質疑応答を含め2時間以内となる。4日には長野工業高校(長野市)で1回目の出前講座を行う。
 長谷川さんは「早めに心の不調に気付き、SOSを出せるようになってほしい。精神疾患の基本的な知識や対処法は生きていくために必要な情報。生徒たちと比較的年が近い青木さんと2人で取り組んでいきたい」と意欲を見せる。
 講座の派遣費用は1人につき1時間1万円で、別途、交通費と経費(配布資料が多い場合など)が必要。うつリカバリーエンジンのホームページにある専用フォームか、電子メール(contact@u2recovery.org)で申し込む。