地域の話題

松本空港発着枠の拡大模索 県が地元4地区と事前協議開始

松本空港を飛び立つ定期便。発着枠見直しに向けた県と地元住民の事前協議が始まった

 県営松本空港の定期便について、県が松本市の地元4地区(今井、神林、笹賀、和田)に対し、協定に基づく1日当たりの離着陸回数の上限(発着枠)を変更したいとして、事前協議を申し入れたことが23日までに分かった。増便や路線拡充が必要となる場合に備え、発着枠を前もって現行の12回から20回にしたいとする。地元の受け止め方はさまざまで先行きは見通せず、騒音に悩まされる住民の声に真摯に向き合う必要がある。

 県は3月、住民でつくる4地区の空港対策委員会(空対委)に事前協議の文書を提出。その後空対委はそれぞれ役員会や総会を開き、協議に応じることを決めた。
 定期便はFDAの4路線・12便で離発着は1日12回、夏季は大阪線2便もあるため14回に達する。すでに協定に定める12回を上回るが、4地区は暫定的に認めてきた。
 松本空港の利用者数は好調で、昨年度は開港後2番目に多い25万9400人超だった。就航先の一つ、福岡空港では滑走路増設が進み、県松本空港課は「増便などの話が出てから協議しては間に合わない」とする。事前に地元と交渉し、発着枠を拡大したい考えだ。
 各地区は、県の担当者から説明を聞く機会を設けるなどして慎重に対応を検討する方針だ。飛行ライン直下の神林地区では、空港を迷惑施設と感じる住民もおり「20回の善しあしを含めての議論になる。どんな意見が出るかつかめない」(百瀬茂敏空対委員長)。
 今井地区は「県と地元がウィンウィンの形になるように進めたい」、和田地区は「空対委として県の説明を聞いた上で対応を検討したい」、笹賀地区は「住民の声に寄り添い方向を決めたい」とする。
 県が地元の要望を聞いて振興策を講じるのなら基本的に認める方向で動く地区もある。
 地元に寄り添った対応を求める声は各地区共通だ。県は「要望が出てきた場合は真摯に検討する」とし、まずは今夏に地元の検討状況や要望などを聞く方針だ。妥結に1~2年かかるとの見方もある。