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長峰山でシカの食害対策 森クラブ21 植生保護へ防護柵設置

草原に防護柵を設置する森倶楽部21のメンバーら

 安曇野市郊外の長峰山で里山再生に取り組んでいるNPO法人森倶楽部21が本年度、草原の植生をシカの食害から守る活動に着手した。近年、シカが出没するようになり、地道な活動で増えてきていたワレモコウやキキョウ、オミナエシなどの植物が激減してしまった。2カ所の草原にシカの侵入を防ぐ防護柵を自前で設置して様子を見守っている。

 長峰山には草原が3カ所残っており、森倶楽部はこのうち東側エリアにある「天平自然園」と「蝶の森」で活動している。明科光・矢ノ沢集落の住民が共同作業で維持してきていたが、集落の人口が減って作業が難しくなり、平成12(2000)年から森倶楽部が草刈りや道整備などで協力している。
 シカの食害を防ぐ取り組みには、県内でシカの適切な防除方法を研究している県林業総合センター(塩尻市片丘)が調査や技術提供で加わっている。森倶楽部が調査対象としている植物が激減してきたため原因を探ったところ、シカが食べた跡やふんなどの痕跡が見つかった。昨年12月には4カ所にセンサーカメラを設置し、シカの姿も確認できた。
 同センター育林部の小山泰弘部長は「この辺にシカがどのくらいいるのかは把握できていない。シカがどういう動きをしているのかを1年間見る中で評価したい」と語る。
 食害を防ぐ防護柵は天平自然園と蝶の森に長さ100メートルずつ設けた。自前で維持管理できるよう、ホームセンターで買えるネットやポールで作った。
 森倶楽部は、チョウを指標にした森づくりをコンセプトに活動している。活動を始めた当初に天平自然園で確認されたチョウは十数種類だったが、森林整備のかいあって85種類程度を累積で確認できるようになった。
 森芳昭理事長は「里山は人間と自然が共生してきた場所。残すべきものは残していきたい。そのためにここに来て楽しめるようなイベントや作業をしていきたい」と語る。