政治・経済

畑地帯のかんがい 施設整備進む 塩尻市洗馬妙義地区の県営事業

揚水機場に掲げた看板の除幕をする出席者

 レタスなど野菜の産地・塩尻市洗馬で進められている県営畑地帯総合土地改良事業・洗馬妙義地区で、幹線管路の一部と芦ノ田揚水機場、長崎原加圧機場が完成し、11日に揚水機場前で安全祈願祭と通水式典が開かれた。農業用水を供給する際に安定した水圧を確保するため、システムをこれまでの「加圧方式」から「自然圧方式」に変更した。

 事業は、老朽化する農業用水の関連施設を更新しながら、維持管理コストを低減することなどが目的だ。新施設を利用した用水の供給が同日、部分的に始まった。
 4カ所にある加圧機場を、加圧機場1カ所と揚水機場1カ所に集約し、電気代などを軽減する。一時的に水をためておく「配水池」は小高い場所に新設した。揚水機場はこの配水池に水をくみ上げる。配水池と農地との高低差を利用して必要な水圧を確保し、畑地へ安定的に送水できるようにした。管路も破損しにくい素材に変更している。
 地元の農家から選ばれた役員でつくる洗馬妙義地区県営畑灌施設更新事業実行委員会の塩原昭雄委員長は、式典で「維持管理が大切。力を合わせて施設を守り、引き継いでいってほしい」と呼び掛けた。
 事業は県が事業主体となり、令和元年度に開始。受益する農家の戸数は約300戸で、受益面積は115ヘクタールとなる。総事業費は28億5000万円で、10年度には全ての整備が完了する予定だ。
 同事業の施設を維持管理するため、今年2月には農家でつくる「洗馬妙義かん水組合」(酒井和彦組合長)を設立した。これまであった三つの維持管理組織を統合して役員数を削減し、組織面でも効率化を図った。