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「楢の実コーラス」半世紀の活動に幕 地区の合唱団復活願い歌い納め

「楢の実コーラス」のメンバーと、伴奏を務めた松原さくらさん(前列右から2人目)

 塩尻市楢川地区の女声コーラスグループ「楢の実コーラス」が今月で活動を終えた。楢川村時代から前身の団体も含め約50年間、多くのイベントや式典に出演し、美しいハーモニーで地域をもり立てた。団員らは「将来的に地区の中で合唱を楽しむグループが復活してくれれば」と願う。

 新型コロナウイルスの影響でここ数年はほとんど集まれず、高齢化も進み、活動再開は難しいと判断した。
 グループの前身は、村時代の婦人会活動や、楢川小学校(当時)PTAの母親コーラスで、その後、独立した。家事や子育て、仕事で忙しい中でも週1回、公民館2階のホールに集まった。毎回、発声練習を兼ねた曲「ともだちはいいな」で始め、歌う喜びを分かち合ってきたメンバーらは「練習が待ち遠しかった」「家族の協力のおかげ」と振り返る。
 成人式や敬老会に招かれ、木曽合唱祭、県母親コーラスまつり、塩尻市民音楽祭にも参加。メゾソプラノ、ソプラノ、アルトの3部合唱で華やかな歌声を披露した。女声合唱組曲「水のいのち」から「川」などの難曲にトライしたり、はやり始めたNHK連続テレビ小説の曲をいち早く取り入れたりした。指導する田中壮子さん(79)=木曽平沢=は「難しいこと新しいことに挑戦してきた」と話す。
 現在のメンバーは60~90代の9人でこのほど「歌い納め」をした。積み立てた活動費は能登半島地震の被災地を支援するため、市民タイムス救援おもいやりボックスに寄託した。
 コロナ禍前には、木曽楢川小学校(当時)の母親たちと一緒にコーラスを楽しみ、交流を続けた。代表の篠原ちよ子さん(67)=奈良井=は「地域にまいたどんぐり(楢の実)が発芽するように、共に歌ったお母さんたちが40~50代となり、子育てが一段落したら『また歌いたい』と思ってもらえれば」と期待している。