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木曽平沢の職人技駆使 漆塗りヘルメット完成 国際レースに"参戦"へ

漆塗りヘルメットのお披露目式で記念撮影に臨む手塚さん、塚本選手、日比野選手、宮原社長、岩原さん(右から)

 女子レーシングドライバーが着用する「漆塗りヘルメット」が完成し、8日に塩尻市役所でお披露目された。鳳凰や富士山、花が描かれたデザインで、同市木曽平沢の職人たちが溜塗と蒔絵の技法を駆使して仕上げた。東京都を拠点とし、米国やタイで行われる四輪のドリフト競技で活躍する塚本ナナミ選手が5月のレースから使用し、日本の伝統文化や木曽漆器の魅力を発信する。

 ヘルメットはまず未空うるし工芸(塩尻市木曽平沢)の岩原裕右さん(45)が漆を塗った。溜塗は、赤色で中塗りした上から透き漆を塗るため赤色が透けて見える塗り方だ。ブラジル生まれの塚本さんのため、赤のほか同国の旗の色にちなみ緑や黄色も施した。岩原さんは「グラデーションにするのが難しかった」と語る。蒔絵は、ちきりや手塚万右衛門商店(同)の手塚希望さん(32)が担当。金色の鳳凰は漆を塗った上に金粉をまいた。広い面積を一気に仕上げるため、手塚さんは「漆が乾かないうちに手早く仕上げるのに苦労した」と話した。富士山の白は卵殻を用いた。ボタン、ユリ、シャクヤクも描いた。デザインは木曽平沢で漆器店を営む庄太郎(宮原勝弘社長)の専属デザイナーが手掛けた。
 宮原社長はサーキット走行の愛好家で、塚本選手とその師・日比野哲也選手のファンだった。走行会で2人と知り合ったという。知人を介して漆塗りヘルメットの打診があり、宮原社長が岩原さんと手塚さんに装飾を依頼した。縁起の良さや日本らしさ、女性らしさを鳳凰、富士山、花で表現。1年間掛けて逸品に仕上げた。塚本選手は「ペイントとは違って深みがある。時間を掛けて変化していくので生きている感じ」と喜んだ。レースやモーターショーの機会にPRする。

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