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パステル画で前向き人生 松本の立石さんがコロナ禍乗り越え初個展へ

立石さんと展示を予定するパステル画

 資源リユースや海外の教育支援に取り組む市民団体フリマネット信州の代表・立石恵子さん(63)=松本市岡田下岡田=が3月8~10日、同市大手4のゲストハウス東家で初のパステル画展を開く。22年前に同団体を立ち上げ、人と人の出会いや新たな市民活動の創出を地域に根付かせてきたが新型コロナウイルス禍に。自粛や縮小を余儀なくされ落ち込む中、パステルに出合い、前を向くことができたといい、この間描いた30点を並べる。

 パステルは粉末の顔料を棒状に固めた画材。立石さんが使うのは京都の老舗・王冠化学工業所が「日本の色」として手作業で生産するパステルで、周囲の自然から連想する心象風景などを柔らかなタッチで描いている。
 幼少期から絵が好きで、10代のころはイラストサークルに所属するなどしたが、結婚後は11人の子供を産み育て「じっくり描くことが難しかった」。転機は令和2年、精力的に開催してきたフリーマーケットなどの催しがコロナ禍で開けず、何かしようと自宅を片付ける中でパステルを見つけた。「山並みや青空が頭の中に広がり光が差したようだった。手にした瞬間、心が画材とつながりスルスルと描いていた」。
 以来パステル画の制作が日常に。人と人とのつながりが薄れ悶々と過ごす日々から、解き放たれるような経験だった。
 初の個展開催について「とても楽しみ。フリマネットの活動のようにさまざまな人が訪れ、新しい出会いが生まれる機会になればうれしい」と話している。
 正午~午後4時。パステル画のワークショップや鷲澤商店(安曇野市)のコケ観照植物の展示もある。